米国債ボラティリティ指数

米国債市場の「不整脈」を測る

米国債の将来的な価格変動リスクを示す代表的な指標に、債券版VIXと呼ばれるICE BofA MOVE指数があります。ただ、当サイトではFRED発表の米国債利回り(終値ベース、2年・5年・10年・30年)の実際の変動幅から実現ボラティリティを計算し、MOVE指数と同じ加重方式(2年20%・5年20%・10年40%・30年20%)で合成した独自指数を算出・掲載しています。
本指数は、予想変動率を測定するMOVE指数とは異なり、過去21日間の実績から算出しているため遅効性がありますが、米国債市場の「不整脈」を捉える代替の心電図として機能するはずです。

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【分析の視点】
この指数の上昇は、将来の金利予測が困難になっていることを示し、政府債務の利払いコストや企業の調達コストに直結する「不確実性」の増大を意味します。債券市場が平穏(指数が低水準)であれば、レバレッジをかけた投資が活発になりますが、一度急騰すると、あらゆるアセットクラスで「資金の引き揚げ」が発生しやすくなります。この「金利の暴走」に対するヘッジ手段として、発行体のいないゴールドの価値が再認識されると位置付けられることがあります。金ボラティリティ指数(GVZ)の動向と併せて、市場の軋みを監視する上で最も警戒すべき指標の一つです。

【現在地】
直近(2026年8月31日時点)の指数は73.05。過去1年のレンジは約38〜92で推移しており、2026年1月中旬の底(約39)から4月上旬にかけて一時92程度まで上昇した後、7月下旬には55前後まで落ち着きました。ただし8月に入り再び60台後半〜70台へ上昇しています。2022〜2023年の利上げ局面で記録した100〜200超の水準と比べれば平穏圏ですが、米国債の需給構造の歪みは解消されておらず、ストレスがかかれば急騰する素地は残っているように見えます。
実際、長期債利回り上昇への懸念から、米財務省は長期債バイバック(買い戻し)増額計画を発表。そのバイバック資金は約1兆ドル規模のTGA(財務省一般口座)を取り崩して賄うとされています。コロナ禍で発行された巨額の低利回り債券から、現在の高利回り債券へのロールオーバーが進行中ということもあり、こちらのボラティリティ指数の動きは要注目です。

▶︎ 関連データ:市場の「熱狂」と「確信」を映す鏡(金ボラティリティ指数)

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