量的引き締めは完了するも資産は再拡大
2026年に入り、FRBの資産は「減少」から「増加」へ転じています。QT(量的引き締め)は2025年11月30日付で公式に終了し、FRBは準備預金を「潤沢」な水準に維持するための短期国債買入れを開始しています。引き締めを終えた直後から資産が再拡大に転じているという事実は、インフレ再燃の要因ともなり得るため、注視が必要な局面です。
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【分析の視点】
このチャートに刻まれているのは、危機が起きるたびにFRB(米連邦準備制度理事会)が積み上げてきた「通貨の地層」です。
- 2008年 リーマンショック以降:金融システムの崩壊を防ぐため、人類史上例を見ない規模の量的緩和(QE)が始まり、チャートは一段目の大きな上昇を記録しました。
- 2020年 コロナショック:前回の比ではない「垂直に近い上昇」を見せ、世界中に天文学的なマネーが供給されました。これが現在のインフレ、そして金価格の長期上昇トレンドを形成した源泉の一つです。
- 2022年〜2025年 アフターコロナのマネー吸収:インフレ抑制のため、FRBは量的引き締め(QT)へと舵を切りました。チャートの右肩下がりは、市場から資金が吸い上げられている状態を示しています。
- 2026年 引き締めの終焉と「再拡大」:QTは2025年12月1日付で公式に終了。準備預金を「潤沢」水準に維持するための短期国債買入れにより、資産は再び増加に転じています。
【現在地】
QTは、2025年11月30日付で公式に終了し、翌12月1日から短期国債買入れによる新体制に移行しています。現在FRBは、短期国債買入れとMBS償還再投資(=MBSの償還資金を短期国債の買入れに充てる仕組み)を通じて準備預金を「潤沢」な水準に維持しており、2026年通年で、「FRBの短期国債買入れは約3600億ドル、MBS償還再投資は約1800億ドル、合計約5400億ドル規模になる」と、米財務省の国債発行諮問委員会の試算では見込まれています。QT終了直後の2025年12月を底に資産は拡大に転じていますが、これは2025年9〜10月の短期金融市場のひっ迫を受けた措置であり、その後のNY連銀の発信では、準備預金は「潤沢」な水準を維持できており、市場環境はむしろ落ち着きを見せていると説明されています。
ただし、長期債利回り上昇への懸念から、米財務省は長期債バイバック(買い戻し)増額計画を発表。そのバイバック資金は約1兆ドル規模のTGA(財務省一般口座)を取り崩して賄うとされています。コロナ禍で発行された巨額の低利回り債券から、現在の高利回り債券へのロールオーバーが進行中ということもあり、マーケットの疑念は高まっているようです。
▶︎ 関連データ:信用収縮の予兆とマーケットの「拒絶反応」を捉える(ハイイールド債スプレッド)
【チャートの操作方法】
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