金ボラティリティ指数(GVZ)

市場の「熱狂」と「確信」を映す鏡

金ボラティリティ指数(GVZ)は、しばしば「金の恐怖指数」として引用されます。しかし、GVZが示しているのは、単純な価格乱高下に対する恐怖ではありません。金のオプション市場が織り込む将来の価格変動、いわば「熱量」とでも言うべきものを映し出す指標となっています。 金価格が史上最高値から調整局面に入った現在、GVZは何を語り始めるのか。ここでは、価格だけでは見えない、金市場の内側の変化を追います。

*スマホでのブラウズは横画面を推奨します。

【分析の視点】
資産価格が史上最高値を更新する局面では、通常、短期的な投機マネーが流入し、ボラティリティも上昇します。実際、2026年1月に金価格が終値で史上最高値(5354.80ドル)を更新した局面では、GVZは46.02まで急騰しており、これは2020年のコロナショック時のピーク(48.98)に迫る水準でした。ただしGVZは、下落への備え(プットオプション買い)でも、上昇に乗り遅れまいとする買い(コールオプション買い)でも、同様に上昇するという特性を持ちます。2026年1月の急騰は後者、すなわち機関投資家によるコール買いが主因とされており、パニック売りを伴う危機型の急騰とは性質が異なります。この「急騰の中身」を見極めるうえでは、実際の資金の主体を映す投機筋ポジション(CFTC)と併せて確認することが欠かせません。

【現在地】
米国債が売り圧力に晒されるなか、HY債スプレッドは3%台で高止まりしている一方、セントルイス連銀金融ストレス指数は10月2日に上昇した後、翌週には再び低下しており、市場の軋みが金融市場全体に広がっているとは、まだ言えない状況です。
こちらの金ボラティリティ指数(GVZ)は、9月10日の28台をピークに低下が続き、10月13日時点では22.09と、2026年1月以来の低い水準にあります。米10年実質金利が2.9%前後と高い水準にとどまるなか、金の値動きはむしろ落ち着きを見せている形です。
GVZがこの先、平常時の水準とされる「10台」まで低下し、HY債スプレッドも落ち着きを取り戻し、金融ストレス指数も低位にとどまるようなら、これまでの高い水準は一時的な過熱にすぎず、「確信」の裏付けという見立ては行き過ぎだった可能性は残ります。

▶︎ 関連データ:投機の「思惑」と上昇の「余力」を測る(投機筋ポジション)
▶︎ 関連データ:ゴールドの「競合相手」:実質金利を捉える(米10年実質金利)
▶︎ 関連データ:貴金属の「相対価値」と景気の体温(金銀レシオ)
▶︎ 関連データ:信用収縮の予兆とマーケットの「拒絶反応」を捉える(ハイ・イールド債スプレッド)
▶︎ 関連データ:「平時(0)」からの乖離と、潜在リスクの可視化(セントルイス連銀金融ストレス指数)

FRED® Graphs ©Federal Reserve Bank of St. Louis. All rights reserved. All FRED® Graphs appear courtesy of Federal Reserve Bank of St. Louis. https://fred.stlouisfed.org/

目次