ゴールドの「競合相手」:実質金利を捉える
金利がつかないゴールドにとって、米国の実質金利(名目金利-期待インフレ率)は最大の競合相手です。ゴールドの価格変動の裏側に潜む「もう一つの主役」の動きの確認は、通貨価値の変動を読み解く上で欠かせない視点の一つです。
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【分析の視点】
実質金利とは、額面通りの金利(名目金利)から、物価の上昇(期待インフレ率)を差し引いた、いわば「通貨の本当の価値」です。
機会費用としての側面:ゴールドは配当や利息を生みません。実質金利がプラス圏で上昇している時は、債券などの利息を生む資産に資金が流れやすくなり、ゴールドには逆風となります。
期待インフレ率との連動:インフレが加速しても、それ以上に金利が上がらなければ実質金利は低下します。この「インフレから資産を守る力」が相対的に強まる局面こそが、ゴールドの真骨頂です。
ゴールドを測る物差し:一般的に「実質金利がゼロ、またはマイナス」の状況は、ゴールドにとって歴史的な強気相場の土壌となります。現在の金利水準が、ゴールドにとって「追い風」なのか「向かい風」なのかを、このチャートから読み解くことができます。
【現在地】
現在の実質金利は約2.88%(2026年10月13日時点)とプラス圏で推移しています。10月5日には2.95%と、2008年11月以来の高水準を付けました。教科書的にはゴールドにとって向かい風です。金価格は2026年1月29日の終値で史上最高値(1オンス=5354.80ドル)を付けた後、実質金利の高止まりを受けて調整に入り、7月16日には終値で4000ドルを割り込み高値から25%以上下落。その後4700ドルを伺う水準まで戻したのは、実質金利という「競合」に一旦押されつつも、米財政赤字への懸念から米長期債への売り圧力が強まり、金への上昇圧力が再燃したためとも言えます。
ただし8月28日のジャクソンホールで、ウォーシュFRB議長がインフレ収束へのタカ派姿勢を示すと、金価格は再び200日移動平均線を割り込み弱含みました。9月に入るとイラン情勢の緊迫化による原油高もインフレ懸念を強め、9月16日のFOMCで政策金利は25bp(0.25%)引き上げられ3.75〜4.00%に。ゴールドには下押し圧力がかかり続けています。現在は「実質金利上昇という強い逆風」と「利上げがもたらす米財政悪化という追い風」がせめぎ合っている状況といえそうです。
ちなみに9月のFOMCでは18人中16人の当局者が年内の追加利上げを見込んでおり、利上げ局面はまだ終わっていません。足元で実質金利は2.6%台から2.95%(10月5日)まで上昇した後、2.9%前後で高止まりしています。金価格は4200ドルを挟んで一進一退となり、10月14日の終値は4107.90ドルと、10月7日(4140.70ドル)を下回りました。財政赤字懸念よりも実質金利の逆風が優勢な展開が続いています。この状態が定着するのか、それとも財政赤字懸念や地政学リスクが再び金を押し上げる局面に転じるのか、今後のデータ次第ということになりそうです。
▶︎ 関連データ:ドルの総合力を測る(複合ドル指数)
【チャートの操作方法】
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