オランダ中央銀行が、ニューヨークとオタワに置いていた金86トンをロンドンへ移した。理由は「地政学的緊張の高まり」。数ヶ月前、ドバイの世界政府サミットでレイ・ダリオは「資本戦争が近づいている」と語り、金を「最も安全な通貨」と呼んでいた。示し合わせたはずもない投資家と中央銀行が、同じ潮目を見ている。金がニューヨークから運び出されるのは、今回が初めてではない。2012年、ベネズエラが米・欧・加の銀行から金を本国へ持ち帰り、2014年にはオランダ自身が同じようにニューヨークから金を持ち帰った。ドイツもニューヨークから300トンをフランクフルトへ移し、フランスも今年1月、ニューヨークに残っていた最後の金をパリへ戻している。積み重なる小さな動きの底に、通貨と信用をめぐる時代の転換が横たわっている。
